<長谷部国信>について

投稿日:2024年02月11日(日)

長谷部国信は作品がほぼ皆焼の刃紋であり、比較的作刀が現存する為にとてもわかりやすい形で相州伝を代表している名工です。行光、正宗の後の南北朝時代に京の長谷部派は相州の秋広、広光と同時期に相州傳の顔となる皆焼の華やかな作風を完成させています。一派には国重、国信、国平、宗信、重信らがおり、その中でも国重、国信はその代表格です。「へし切長谷部」で知られる国重を初代としてその子に二代国重と国信の兄弟がおり、国信は重要文化財の熱田国信の他、上杉家伝来の「唐柏」の作者として知られます。特に熱田国信は熱田三剣の一つとされ、一説に正宗に入門して腕を磨いた後、京に戻る途上で熱田神宮に参籠して鍛えたと伝えられている長谷部を代表する奉納刀です。出来としては同じ皆焼でも相州物は元となる刃取りが丁子と互の目で構成されているのに対し、長谷部派は湾れ調の互の目となり、なかでも国信は湾れ乱れが角ばったり矢筈気味になる特徴があります。また鍛え肌の特徴は表面に年輪が浮いた様な板目肌を基本にしながら柾目も強めに入ります。名品のなかには相州の華やかと山城の気品をあわせたような作があり、炎が立ち昇るかのような焼きが幽玄にして神妙な雰囲気をだしています。