太田アートガーデン鑑賞会 第2回<刀剣の旅、長船から関へ>

投稿日:2024年11月11日(月)

今回も鎌倉時代に活躍した新田氏の本拠、新田壮である太田で日本刀の鑑賞会を行います。今回は太田は現代の日本のものづくりを支える土地でもあることから、古刀期主要な生産地であった長船と関の刀について見ていきたいと思います。

長船は平安時代から日本刀の生産地として知られており戦国時代にその最盛期を迎えます。ただ吉井川の洪水をきっかけとして、当時から主要な競争相手だった美濃国関にその地位を譲りました。新刀期には堀川国広をはじめ、新刀鍛冶は備前刀の影響を受けながらも名工の多くが関系の鍛冶から出ています。その歴史的経緯を古刀期の実際の作刀から見ていきたいと思っています。

備前刀は古くは古備前から始まりますが、生産能力から考えても長光から始まる長船がまさに備前刀の最盛期といってよく、今回長光もかくよという出来の一門の近景の太刀から始まり、一文字や室町時代の前期の名工として知られる則光や、戦国時代の刀の代表格である祐定、清光もございます。

関はその始まりは長船よりだいぶ新しく、鎌倉時代の終わりからと言われています。元々は荘園つながりで大和系の鍛冶が移住した事をはじまりにしています。兼氏が初期の名工として知られますが在銘作は少なく、主要な力を持つのが和泉守兼定からと思われます。今回は兼氏の一派から直江を、和泉守兼定は来写しの名短刀を、そして戦国の気風を現した皆焼きの国次と信長の天下取りを支えた関の兼房一門から氏貞と氏房をお持ちします。

また第2回目の目玉として、長船の勇壮かつ豪壮な生ぶ姿の在銘の太刀と現代刀である人間国宝の太刀の二つが歴史を超えて対面します。刀剣の書籍などで紹介される日本刀の姿の代表格である南北朝時代の太刀はそのままの姿で残っていないものがほとんどですのでこのご機会に近くからご覧ください。なお展示刀は基本的には展示のみを予定しております。

「開催予定 11月13日 開場18時、開始18時半」

<参考刀>

長船近景 太刀

<展示刀>

長船経家 太刀

大隅俊平 太刀

<予定鑑賞刀>

吉宗(一文字) 因州住兼先摺之 脇差
備州長船貞光  至徳二年五月日 短刀
備州長船則光作 文明二年八月日 刀
備前国長船祐定作 永禄三年八月日 刀
備前国住長船清光作之 天正二年八月吉日 脇差

 

無銘(直江志津) 脇差
和泉守藤原兼定(之定) 短刀
国次(山田関)  刀
濃州住氏貞作 永禄十年八月吉日 短刀
若狭守氏房<織田信長の抱え鍛冶>短刀

<注意事項>当会は美術品を扱っており、また真剣ですので会主が危険な行為があったと判断しましたらその場で会を終了させて頂きます。日本刀は文化財です。文化財に敬意をもって行動してください。会主敬白