末備前の雄、与三左衛門尉祐定の傑作です。第63回の重要刀剣に指定されております。
末備前第一の名工であり、備前長船有数の代表工として戦国時代に活躍しています。本工は備前伝の丁子刃の他(俗に蟹の刃)、湾れ、互の目、直刃、皆焼、など各種刃紋を見ますが、本刀のような出来は特に出来が優れて見事です。なお重要文化財に指定されているものを含めても、与三左衛門尉の作は五十振り弱しかないと言われております。
本刀の出来は殊に地鉄の杢目肌が練れて美しく、刃紋は互の目丁子が華やかで小沸がよくついています。匂い口はとても細かに柔らかく、且つ見事に明るく冴えており、出来口は他工には類を見ません。姿は二尺二寸の片手打ちで利刀造りで鎬が厚く、身幅が広く反りがある気品のある末備前らしい代表作です。また本作は幻とも言える珍しい太刀銘である伝説的な作刀で貴重であります。