室町期を代表する名工、長船則光の文明年紀のある刀です。この時期の備前刀は応永備前と永正備前の中間にあたり、永享備前と呼ばれて珍らしく、また出来の優れたものが多いです。この時期の備前刀は俗名を切るものは少なく、この刀は年紀から考えますと五郎左衛門尉か左衛門尉則光とも思われます。また文明の年紀が貴重であるばかりでなく、則光が最も得意とする腰反りの締まったバランスの良い姿で一層出来が良いものです。作風は直刃を基本に小乱れが交じって、匂い口が締り心にフックラとして冴えた傑作です。地肌も評するならば、小杢目という古調でこまやかな鍛えに、乱れがかった直ぐ状の映りがはっきりと顕われて、まさに備前伝を代表する出来口です。
備州長船則光作 文明二年八月日
刃長 | 反り | 元重 | 元幅 | 先重 | 先幅 |
69.7cm | 1.5cm | 0.7cm | 3.05cm | 0.45cm | 1.85cm |
室町中期 備前 特別保存刀剣 白鞘 145万円