大村加トの門人、武蔵太郎安國の刀です。安国は下原広重の子で、江戸に出て加卜の弟子となっております。武蔵国下原一門の代表工であり、1685年(貞享二年)には水戸光圀公の佩刀を造り、徳川吉宗公の上覧鍛冶も務めました。小説「大菩薩峠」の主人公、机竜之介の愛刀としても知られています。
作風は下原の影響が強く、作風は美濃伝でタナゴ腹風の中心仕立なども特徴的です。武蔵太郎の名をもって名高く、真十五枚甲伏作と誇らしげに切銘しており、とても人気の高い一品です。
本刀はやや強い地鉄に、刃紋は互の目乱れが大きく乱れて沸づき刃中がよく働いています。かつては実用性の高さを誇り、利刀として優れた江戸新刀の代表的な刀です。