陸奥棚倉藩十万石の阿部家伝来の鎧です。
兜は鉄黒漆六十二間の小星兜で、星は先の尖った小星が一行に二十九点を繁く打っております。八幡座は鍍金玉縁で小刻、甲盛菊、裏菊、魚々子唐草彫の葵座の五重となって見事です。後正中に鍍金笠印が付いた鐶を打ち、総角を結んでおります。眉庇はやや斜めに突き出た鉄黒漆塗りです。形状は上縁左右に切り込みがなく、すっきりとしています。受張の為に鉢裏の銘の有無を確認できませんが、適度に引き締まった鉢の調子や星の形状、天辺の星の軍配形に近い集合状態などがあり、上州系兜鉢の特徴が顕著です。さらに眉庇中央には祓立台を設けており、獅噛、鍬形を挿してあります。
雲龍蒔絵仏胴胸取具足
江戸中期 六十二間星兜 お問い合わせ下さい