陣羽織、鉄扇、鉢金、鎖帷子など武士の実用品と職人達

投稿日:2026年02月11日(水)

陣羽織(威付き)

陣羽織は、通常より丈の短い着物の一種で、戦国時代から安土桃山時代以降に戦国武将達が甲冑の上から着るようになりました。戦場において甲冑が直接、雨や寒風にさらされることを防ぎ、特に冬場の戦いにおいて、防寒具として重宝されていたようです。なお当時は「陣羽織」と言う名称は使われておらず、「具足羽織」(ぐそくばおり)、「陣胴服」(じんどうぶく)などと呼ばれていました。

陣羽織は、実戦において雨や寒さから武将の体を守っただけではなく、軽量化の工夫が施されるなど、実用品として進化。同時に武将の威厳を示す装飾品としても発達していきました。特に軍を統率する立場の武将は、背面に家紋や絵の刺繍を施し、生地も派手な柄の織物を使用。華やかな陣羽織を着用することは、自らの財力を示すと同時に、カリスマ性をも示す手段でもあったのです。

本作はその陣羽織に鎧と同じ威をつけて、鎧と同じ防御力を備えさせた特注品です。

鉄扇

言葉通りでは鉄製の扇となりますが、本作のような扇の骨を鉄で製作したものは少なく、作者は大阪の吉道という名工の作であることも貴重です。

通常見かける鉄扇は、扇を畳んだ状態を模した鉄の棒であることがほとんどで、使い方もほぼ同じなので、系統としては十手の亜種とも言える護身具です。

鉢金

額や前頭部を守る防具で、鉢巻に近いものと、簡易な兜といえるものがありますが、どちらも兜と違って折り畳めるのが特徴で、持ち運びに適していました。その扱い易さから、特に幕末に流行しました。

鎖帷子

鎖を衣服に縫い付けたものから、鎖だけで下着の形に仕上げたものまで、多種多様な防具です。皮や鮫皮を鎖で繋いだものが防火服として使われたり、用途に応じて製作されました。戦国時代や幕府の戦場では頼りにされたようで、特に幕末の剣客には必殺の防具でした。なお腐食によるものか、もしくは矢や槍の攻撃に弱いせいなのか、戦国時代より古いものは現在していないようです。

終わりに

これらの防具は鉄の製品なので、製作は鍛治師によるものでしたが、特にいいものは名のある刀工や甲冑師によるものもあります。その職人達は修理の為に戦場にも同行していたようで、豊後高田の刀工のように戦場で戦死している記録も残っています。