本作は富嶽透かし図の鐔でまさに富士山といった構図の作品です。分かりやすい題材ですが、特徴的なには富士山頂の丸い存在です。おそらくこれは朝日ないし夕日か、もしくは月なのかもしれません。見る方によって自由な発想できる親しみやすさもある図柄です。
また本作の作者は金山と極められており、ここで簡単に金山一派について説明させていただきます。参考文献として知られる内容では、天保十年刊行の「金工鐔寄綴」に「金山透鐔 金山は山城国地名なるか姓なるか不知と言ども 世に唱えて珍重す」とございます。次に諸説ございます金山の場所については、名古屋市の熱田に金山彦命を祀る金山神社があり、その付近が金山という地名で、鍛冶屋として盛んなところであったことからここで作られたという説が有力とされております。