江戸中期の刀を代表する日本刀の名工、新刀最上作である一竿子忠綱の脇指です。元禄頃の華やかな世相を反映し、より派手な物が好まれた時代にこの刀工は活躍しました。本刀は華やかな互の目丁子刃が見事な作で、まさに一文字を思わせます。そして出来口は、刃縁の沸がむら無くフックラとして金筋、砂流しがよく働いて刃が華やかに彩られています。さらに、中心仕立ては丁寧かつ美しく伝来の良さを伝えています。
尚、一竿子については次の様な逸話が残っています。江戸後期の天明四年に江戸城中にて時の大老田沼意次の子、田沼意知を討った佐野善左衛門が用いたのが一竿子であったそうです。これにより佐野善左衛門は世直し大明神と囃立てられ、一竿子も一層人気が出たそうです。