今や人間国宝以上に貴重な、河内國平の傑作です。さらに本作は同作中でも昭和六十二年に文化庁長官賞を受賞した特別な太刀です。宮入一門の沸の強い地鉄が美しく、刃紋は隅谷丁子が重花丁子となって華やかに乱れています。まさにこの作風は現代の備前伝の極致の一端を顕わしており、一文字を髣髴とさせます。
<本作と河内國平刀匠について>
河内国平の本名は河内道雄といい、新刀の名工である河内守国助の十四代目の次男として大阪出身でいらっしゃいます。当時の刀匠としては珍しく大学に通われており、関西大学にて考古学者末永雅雄に師事するなど歴史に関する見識も豊富であることが知られております。大学卒業と同時に相州伝で知られる宮入昭平(人間国宝)に入門され、高松宮賞等を受賞されています。その後、さらに隅谷正峯(人間国宝)の許しを得て備前伝も習得されおり、それがまさに昭和62年に造られた本作であり、この作をもって文化庁長官賞を受賞して無鑑査に認定されていらっしゃいます。なお最近では平成26年に正宗賞を受賞した上、「黄綬褒章」も受賞しており、次期人間国宝に最も近い刀匠と言われています。